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2024/02/17

超次元プリンタ

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ブレイバーンじゃないよ!ハイパーガジェットだけど!

今までさんざん働いてくれたうちの3Dプリンタ(光造形式)ですが、先日ついに力尽きました。いくら違うデータを入稿しても、全く同じゴミを印刷するようになったのです。メーカーさんにお尋ねしたところ、どうも基盤そのものがイカレてしまったそうなので、現在は送っていただく基盤待ちです。

光造形プリンタは、自分の中で本当にエポックメイキング。本体の値段の30倍くらいは楽しませてもらいました。ドラゴンクエスト「蒼天のソウラ」に登場するえぐみマーク2作ったり、ドルセリオン作ったり、マシンハヤブサ作ったり、マイトガインの腕カバー作ったり、大人用オージャカリバー作ったり……。個人的に、こんな素晴らしい「玩具」はそうそうなかったですね。

そんな折、以前から興味があったFDM形式のプリンタのカタログが目に留まりました。FDMとは、液体レジンを光硬化させるタイプではなく、プラやABSのフィラメントを熱で溶かしてノズルから噴射、立体物を印刷させる形式です。簡単に言うと、ケーキ屋さんがチョコペンでクリームを一筆書きで描いていくようなもの、でしょうか。

はっ!タイミングよく、新しいパソコンを買うために貯金していた共済貯金が満期に!


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……というわけで、ついに導入してしまいました。2代目の3DプリンタはBambu Labという会社のP1Sという名前、光造形ではないFDM造形形式です。しかもAMS機器(後で説明します)搭載の上位機種!

まずは開封、そこで驚きました。何が凄いって、添付の初期設定説明書が日本語だよ!いやこういうのって大概、英語が中国語だったからね。やっと日本人にも普通にわかるようにしてくれたか……(安堵)。

本体と印刷原料のセッティングは非常に簡単、15分で使えるようになりますと書いてありますが、1時間かかりました(簡単?

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まずは説明書通りに、サンプル品を印刷してみます。この機種はこんな感じに、工程をカメラで見ることができます。


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さらにWi-Fiで繋がっているので、PCでも外出中のスマホでも、アプリでリアルタイムに見られ、印刷完了報告をしてくれます。印刷途中でも、状態がおかしいようなら即座に一時停止、中断もできます。これは非常に、いやめちゃくちゃ便利。

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FDMの印刷は、熱したプレートに、1本のノズルが溶かしたフィラメントを噴きつけることで行います。ノズルを保持しているアームは、すごい勢いで左右にぎゅんぎゅん動き回り、薄い膜を1枚ずつ描いていきます。音は結構うるさく、たぶんこれが動いている部屋で昼寝とかはできないでしょう。印刷開始したばかりのころは、ほんとうに薄焼きのホットケーキか、もんじゃ焼きでも作っているかのようです。

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数分で、ほぼ単色の塊が完成。

なんか良く分からないものができましたが、どうやらスクレイパー(出来上がった印刷物を、プレートからはがすやつ)のホルダーのようです。まだ温度調整をしていないので仕上がりが雑ですが、このくらいなら実用の範囲でしょう。

そして特に何の設定もしていませんが、よく見ると、出来上がったもののロゴに色がついています。どういうことなのかは後述。

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では次に、自分で作ったデータを印刷にかけてみます。まずはSMP・ドライアスの胸パーツ。別に元のパーツに不満があったわけではなく、誤って踏みつぶしてしまったので、設計して3Dプリントしただけです。

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写真左(白)が光造形プリンタによる印刷物、レジン製です。右(緑)はFDM成形プリンタのもの、材質はPLA製です。

上の比較写真だと、一目しただけではあまりわからないかもしれませんが、レジン製(光造形)の方は全体が非常に滑らかです。それに反して、PLA製(FDM成形)のものは積層痕が目立ちます(もう1枚上の写真を参照)。これは造形方法と材質の仕様なので、ある程度仕方ないです。

一方でレジン製は重く、PLA製の数倍の重量があります。部品の1個2個ならともかく、ロボの全身などをオールレジン製で作る場合には、自重との戦いも考慮しないといけません。オールレジンのオールレンジ攻撃……うぷぷぷ。

また印刷時間ですが、レジン製はこのサイズで2時間弱くらいかかります。それに比べて、PLA製はわずか十数分で終了です。新型機種ということもありますが、この速度は圧倒的です。

そしてレジン製はこの後のケア(洗浄、2次硬化)が必須ですが、PLA製はそういったことはあまり必要ありません。サポート材を剥がすだけでも大丈夫です。

どちらがどう優れているかは、作るものによりますね。女性フィギュアなら滑らかなレジン製の方が適していますし、ガンプラの部品作りなら(積層面を削る必要はあるとして)PLA製の方が楽ちんです。

そしてFDMの印刷の細かさは、積層の厚さで決まるようです。先ほど印刷したのは積層が0.4mm。今度はこれを0.2mmにしてみましょう。印刷予想時間は当然ですが倍程度に伸びますが、その分細部は細かくなります。ついでにフィラメントも白(シルクタイプ)に替え、印刷をかけてみると……。

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なんだこれ!やたら綺麗でつやつやぷう!

よ~く見ると積層痕もありますが、非常に滑らかでむしろ美しいほどです。例えて言えば、先ほどの積層痕が「木目」なら、今回のは「絹糸で全身を包んだ」みたいな感じでしょうか。フィラメントの種類でも、仕上がりが全く異なるのですね。

ではもうちょっと、大きなものも試してみましょう。別のデータ、設計中だったマシンバッファローの形状テストモデル(本来の大きさの1/5くらい)を、FDMプリンタに印刷させます。デフォルトのフィラメント設定で印刷させると……。

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形はまだしも、あちこちに隙間が見えており、まるで蚕の繭のようです。これはちょっとがっかり。素材にするならともかく、このまま使うのは無理です。

この失敗は、調べてみるとどうもフィラメントとプレートの加熱温度が影響したようです。今は真冬、こちらはファンヒーターなしでは生きていけないような地域ですので、周りの気温にかなり左右されたのでしょう。FDM形式は温度管理が最重要とは聞きましたが、本当にその通りのようです。

そこで、それぞれの設定温度を5度だけ上げてみました。テストしてみると、今度は表面がきれいに繋がり、うまくいきそうです。ならばさらに踏み込んで、先ほどから話に出していたAMSも使ってみましょう。印刷中の状態は……。

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こんな感じです。おや?

プレートは一枚、印刷ノズルも1個のはずなのに、いろんな色の部品が載っています。しかも部品ごとに色が異なるのならまだしも、同じ1個の部品なのに、途中から色が変わっているものがあるのがおわかりでしょうか。

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それを組み立てたのがこちら。未塗装、研磨もしていない状態の、形状試作版マシンバッファローです。サイズは手のひらに乗るくらい。未塗装なのに、部品がちゃんと色分けされています(色がセブンイレブンカラーなのは、単にその色のフィラメントがプリンタに付属してきたからで、深い意味はありません)。雑ではあるけれど、ラインやマークが入っていますね。

これこそがAMS(オートマチック・マテリアル・システム)の真髄!驚異の「多色同時印刷」なのです!わかりやすく言えば、「ついにおうちで、『色プラ』が作れるようになった」のですよ!な、なんだってー!ジオン驚異のメカニズム!

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それを可能にしているのが、プリンタの上部に載せられた複数のフィラメント。これをAMSが制御し、プリンタの指示通りにフィラメントをとっかえひっかえすることで、多色同時印刷を可能にしているのです。
ノズルは1個なので、積層1層ごとに色替えの指定があるたび、すでにノズル内にある古いフィラメントを排出、新しい色のフィラメントに切り替えて、再度印刷を始めるという仕組みです。そのためフィラメント効率も悪く、時間も単色印刷に比べて数倍……ものによっては十数倍……かかります。

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また、切り替えるたびに排出されたごみフィラメントも、凄まじい勢いで溜まっていきます。(単色の場合にはこんなに出ない)なんだこれ勿体ない、再利用できないのか?と思ってしまうほど。まあプラモのランナーだと思えば腹も立たない……立つわ!

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そしてこの色分けは、付属のスライサーソフトだと結構めんどくさく、なかなか楽に、綺麗には塗分けできません。線が真っすぐ引けないんですよね。(そのために出来上がったものも、ラインがふらついている)なんかいいソフト使えばいいのかもしれないけど……。まだまだ試行錯誤が必要です。

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それでも、たった1度の成形で多色部品の印刷物ができてくるのは感動ものです。うちのはAMS4スロットなので、同時印刷は最高でも4色までですが、この機種は合計4台増設が可能、つまり最大16色同時発色印刷が可能だそうです。AMS16万円くらいするから、絶対やらんけど!

そういうわけで、また新しい扉が開いていく気がする冬の終わりでした。人類の英知に幸あれ!モノ作りは楽しいねぇ。

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Bambu Lab P1S 3D プリンター, 筐体あり, AMS搭載、最大16色同時造形可, 速度 500mm/s, CoreXY構造

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Bambu Lab P1S 3D プリンター, 筐体あり, 16色造形可

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Bambu Lab 純正フィラメント, 1.75mm PLA 線径精度 +/- 0.03 mm, RFID付き

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